連弾曲目解説

4本の手が魅せるスーパーエンターテイメント!

各曲をクリックすると解説表示されます。
(日本・世界初演)記載は、当デュオによる初演作品です。

ピアノ4手連弾作品



曲目解説

  ハチャトゥリアン(G.アンダーソン編曲):バレエ組曲「ガイーヌ」より「剣の舞」

Aram Khacaturina:Sabre dance (Arrange for 4hands by Greg Anderson

<鍵盤から煙上がる剣の舞>

ロシアの作曲家、ハチャトゥリアン(1903~1978) のバレエ音楽『ガイーヌ』の最終幕で用いられる作品です。この曲は、クルド人が剣を持ちながら舞う、戦いの踊りを表しています。民族性を前面に打ち出した激しいリズムは、聴き手の興奮を誘います。今話題になっているアメリカのピアノデュオAnderson&Roe のグレッグ・アンダーソンによる連弾アレンジ(2006年)は、華やかな音だけでなく、手の動きにも工夫を凝らし、視覚的にも楽しませてくれます。(編曲者については、「美しき青きドナウ」の解説もご参照ください。)

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  グルック(G.アンダーソン編曲):歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」より 「精霊たちの踊り-メロディ」

C.W.Gluck :"Ballet" from Orfeo ed Euridice also known as "Melody" (Arrange for 4hands by Greg Anderson)

<4本の手で紡ぐ精霊のメロディー>

 グルック(1714~1787)はドイツに生まれ、オーストリアとフランスで活躍した作曲家です。主にオペラの作曲に力を入れ、現代に至るまで高く評価されています。そんなグルックの代表作である歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」には、「精霊の踊り」として有名な間奏曲があります。この間奏曲はA-B-Aという構成なのですが、そのBの部分のみを取り出して編曲したのが「メロディ」で、天国の野原で精霊たちが踊る場面が描かれます。G.アンダーソンは原曲に忠実ながら、心でも手でも寄り添えるような連弾アレンジ(2010年)に仕上げています。



  ギーゼキング:子供の歌による遊戯

Walter Gieseking:Jeu sur une chanson d'enfants pour piano a quatre mains

<2人で奏でる星は、やがて夜空一面に輝く流星群へ>

 モーツァルト、ドビュッシー、ラヴェルの名演を数多く残したドイツの大ピアニスト、ヴァルター・ギーゼキング(1895~1956)。その澄み切ったピアニッシモは、ホロヴィッツら同時代の名ピアニストたちをも虜にしました。多忙な演奏活動の合間に作曲していたので作品数は決して多くはありませんが、フルートの為に書かれた「グリーグの主題による変奏曲」、チェロとピアノのための「演奏会用ソナチネ」、ピアノ作品では「R.シュトラウスの歌曲による編曲集」、「フォックス・トロット」、「4手のピアノのためのディベルメント」など、魅力的な作品があります。

1948年に作曲された「子供の歌による遊戯」は、お馴染みのフランス民謡「キラキラ星(ああ、お母さんあなたに申しましょう)」のメロディーを主題とした6つの変奏曲から成ります。ドビュッシーに聴かれるようなモダンでお洒落な響きが漂い、親しみやすい作風から、ギーゼキングが家で一人娘と連弾するために書いたのではと想像させられます。変奏によっては、右手と左手が交差する箇所があり、繊細で美しいタッチで魅了させた、ギーゼキングならではの作品となっています。

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  ベンジャミン(J.Trimble 編曲):ジャマイカン・ルンバ

Arthur Benjamin:Jamaican rumba (Arranged for Piano Duo by J.Trimble )

<シャル・ウィ・ルンバ?>

 アーサー・ベンジャミン(1893~1960)はシドニーに生まれ、イギリスで活躍した作曲家です。弟子には、ベンジャミン・ブリテンがいます。1938年に気軽に作曲した「ジャマイカン・ルンバ」があまりに有名となったため、国名を有名にしてもらったお礼として、ジャマイカ政府から1樽ぶんのラム酒を贈られました。数多くの歌劇や合唱曲・交響曲、器楽曲を手懸け、代表作にはヴァイオリニスト・ハイフェッツのために作曲された「ロマンティックな組曲」や、ヒッチコック映画「知りすぎていた男」で用いられた、カンタータ「時化 (Storm Clouds)」があります。「ジャマイカン・ルンバ」は、陽気な旋律とリズムで楽しさ溢れています。ジャマイカを囲む美しいカリブ海と白浜のビーチを訪れてみたくなる作品です。原曲は2台ピアノの作品ですが、J.Trimbleが連弾編曲をしています。

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  バーバー:バレエ組曲「思い出」作品28より 「パ・ド・ドゥ」

Samuel Barber :Pas de deux from Souvenirs - Ballet Suite Op.28

<鍵盤上で魅せる男女による恋の踊り>

 今年、没後40年を迎えたサミュエル・バーバー(1910~1981)は、「最後のロマンチスト」と言われるアメリカの作曲家です。代表作「弦楽のためのアダージョ」は、映画「プラトーン」、韓国ドラマ「冬のソナタ」にも使われています。1949年に作曲された「ピアノソナタ」はV.ホロヴィッツによって初演され(日本初演は、私たちの恩師、播本枝未子先生)ピアニストの人気のレパートリーとなっています。バーバーは現代の作曲家ながら、前衛音楽にはほとんど足を踏み入れず、美しい旋律・魅力的な和声を持った曲を多く書いています。『思い出』は、1952年に友達との楽しみのために書いた6つの小品によるピアノ連弾曲集です。その後、作曲者によってピアノソロ、オーケストラ編曲もされバレエ組曲としてまとめられました。いずれも古きよき時代のアメリカ香るダンス・ミュージックとなっています。各曲のタイトルに付けられたエピソードからは、偶然に出会った男女が恋に発展していく様子が彷彿させられます。第三曲の「パ・ド・ドゥ」は、”ダンスホールの片隅で”とエピソードが添えられ、男性が女性をダンス・パーティに誘い踊る様子が描かれています。「パ・ド・ドゥ」とは、バレエの2人で踊るシーン。鍵盤という舞台での「パ・ド・ドゥ」です。


  J.シュトラウスⅡ(G.アンダーソン編曲):「美しき青きドナウ」幻想曲

Blue Danube Fantasy for Piano/Four-Hands by Greg Anderson based on the waltzes by Johann Strauss, Jr.

<進化するピアノ連弾!恋人たちによるドナウワルツ>

 シュトラウスの最高傑作といわれる「美しき青きドナウ」は、1866年に勃発したプロイセン王国とオーストリア帝国との戦争で敗北した、ウィーン市民を励ますために作曲されました。雄大なドナウ川と、ウィーンの森の情景が描かれた優美で華麗なウィンナーワルツです。

 2004年、ジュリアード音楽院で学んだ2人のピアニスト、グレッグ・アンダーソンとエリザベス・ロウにによって、「美しき青きドナウ」幻想曲が作られました。これまでにない新しい連弾スタイルは、YouTubeでも大変話題となっています。ザ・ファイブ・ブラウンズにも編曲を提供しています。

 彼らが作り出す連弾作品は、それぞれのパートに超絶技巧が求められ、鍵盤上では、まるでダンスのような動きも繰り広げられます。また、恋人たちのラブストーリーを表現する演出が考えられています。出会いから始まるその恋の行方は・・・。華やかな音と共に、2人の動きにもご注目!

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  スーザ(V.ホロヴィッツ=山口&伊賀 編曲):星条旗よ永遠なれ

J.P.Sousa:The Stars and Strips forever (Arranged by Vladimir Horowitz and 4hands Arranged by Yamaguchi&Iga )

<3本の手 vs 6本の手>

 アメリカのマーチ王、スーザの代表的な「星条旗よ永遠なれ」は、日本でも運動会の入場行進などに使われ親しまれています。1944年にアメリカ国籍を取得した大ピアニスト・ホロヴィッツ(1903~1989)は、第二次世界大戦の終結の祝福と、ロシア移民である自身を暖かく受け入れてくれたアメリカに対して、敬礼の意味を込め編曲しました。演奏困難な小品の一つと評され、彼の天才的演奏技巧を誇示する目的としては、最も完成度の高い編曲であり、特に中間部には、手が3本あるかのように錯覚させられるトリックが仕掛けられています。しかし、コンサートでこの曲を演奏すると、アメリカ国民があまりに熱狂し過ぎたので、それ以後、二度と演奏しなくなりました。楽譜として残されていないので、録音から山口が採譜し、私たちで、さらに音を付け加えました。”新感覚”ピアノ連弾を目指した編曲です。ホロヴィッツは私たちが最も尊敬するピアニスト。6本の手で彼に挑んでみます。

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  ガブリーリン:バレエ音楽「アニュータ」による4手のためのスケッチより 「ワルツ」「タランテラ」「小さい時計」「馬車乗りの宿舎にて」「陽気な散歩」(日本初演) 

Valery Gavrilin:Sketches for piano 4hands from Anyuta 「Waltz」「Tarantella」「Little Clock」「At the Coachmens's Quarter(Yamskaya)」「Merry Stroll」

<広大なロシアの大地、ウォッカのようなロマンティックロシア演歌>

 ヴァレリー・ガブリーリン(1939~1999)は、ショスタコーヴィチにも将来を嘱望されたロシアの現代作曲家です。レニングラード音楽院を卒業後、ロシアの民謡や民族音楽の研究から得た新ロマン主義的語法による独自の作風を確立。1967年に、歌曲集「ロシアの手帳」が、ロシア連邦よりグリンカ賞を授与され、著名な作曲家として知られるようになりました。作品のジャンルは、合唱曲、室内楽、器楽曲、オペラ、映画や舞台音楽まで幅広く、バレエ音楽は4曲残しています。

 バレエ音楽「アニュータ」は、ガブリーリンの代表作です。振付と父親役のボリショイ・バレエ団のウラジーミル・ワシーリエフと、アニュータ役の同じくボリショイのプリマ・バレリーナ、エカテリーナ・マクシーモワのために作曲されました。物語は、チェーホフの短編『首にかけたアンナ』に基づいており、貧しさの中に生きるロシアの女性のシンデレラストーリー、地位と名誉を得る以前の純粋な恋心との狭間に揺れる心情が描かれています。

 ガブリーリンは、このバレエ音楽を連弾作品としても書き、17の曲集としてまとめました。私たちは、5曲を選んで演奏しています。ロシア人の心情、悲しみ、希望を音楽として代弁しており、いずれもロシアの哀愁、民謡のような旋律、豪快なロシアのリズムそしてユーモアが聴かれます。日本では知られていない連弾作品ですが、なぜか演歌風?韓流風?に聴こえ、親近感が沸く”ロシア音楽”です。新しい連弾レパートリーにお薦めの曲集です。

「ワルツ」 演奏動画は、こちら♪でご覧いただけます。

「タランテラ」 演奏動画は、こちら♪でご覧いただけます。



  ローゼンブラット:2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ

Alexander Rosenblatt:Concertino on two russian themes

<視覚的サプライズも登場、ロシアンラプソディー>

 アレクサンドル・ローゼンブラット(1956~ )は、現在も活躍中のユダヤ系ロシア人作曲家・ピアニストで、クラシックにジャズ、ロック、ラテン音楽を融合させた、ユニークで刺激的な作品を書いています。さらに、ロシア伝統のロマンティシズム、ピアニズムも加わり、独自の世界を作り上げました。ローゼンブラットの手に掛かると、耳に慣れた「カルメン」「白鳥の湖」、そして「鉄腕アトム」までも新しい作品として生まれ変わるのです。2つのロシアの主題によるコンチェルティーノ(1997)は、世界的にも有名なロシアの民謡「モスクワの夜」「カリンカ」の旋律が使われたヴィルトゥオーゾな作品です。前半はラフマニノフを想わせられるロマンティックな「モスクワの夜」 。つづく後半の「カリンカ」は、ストラヴィンスキーのような激しいリズムとジャズによる、コサックダンスが繰り広げられます。そして訪れるクライマックスでは、・・・・・!。幸運にも作曲家本人から私たちの結婚祝いにと楽譜をプレゼントしてくださった、とても大切な作品です。ローゼンブラットは、日本に2度来日し、ニコライ・トカレフとも共演しこの作品を披露しています。今年のリスト生誕200年を記念した書かれた、『リスト幻想曲』が最近発表されました。今後も目が離せない音楽家です。

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  ゴメス(山口編):アヴェ・マリア

William Gomez:Ave Maria (Arranged by M.Yamaguchi)

 名ソプラノ歌手エリーナ・ガランガが、2007年ウィーンでのクリスマスコンサートで歌い話題を呼んだ曲です。演奏映像がYouTubeで公開されると楽譜を求める多くの声が寄せられました。ウィリアム・ゴメス(1939-2000)は、メキシコのギターリストで「禁じられた遊び」などのギター名曲集の録音があります。アヴェ・マリアは数々の作曲家が残していますが、ゴメスの同曲は、情熱と心にしみる優美さがあります。楽譜が未出版のため、ガランカの演奏映像から採譜し、ピアノ連弾に編曲をしてみました。デュエットで歌う「アヴェ・マリア」です。

  ラフマニノフ(G.アンダーソン編曲):ヴォカリーズ

Sergei Rachmaninoff:Vocalise (Arranged by Greg Anderson)

 偉大な作曲家、指揮者、ピアニストであったセルゲイ・ラフマニノフ(1903~1978)。身長192センチもある外見からは想像できない?!哀愁漂うメロディーは、聴き手の心を鷲掴みにします。1912年に作曲された歌曲「ヴォカリーズ」作品34-14もラフマニノフならではの息の長い叙情的な旋律となっています。歌詞はなく母音で歌われ、対旋律を奏でるピアノ伴奏とつくり出すポリフォニーは、感動的です。「ヴォカリーズ」は様々な楽器に編曲されています。グレッグ・アンダーソンによる連弾アレンジ(2009年)は、旋律の絡みと共に、手も複雑に交差し、視覚的にも楽しませてくれます。

  メンデルスゾーン(V.ホロヴィッツ=山口編曲):結婚行進曲の主題による変奏曲

F.Mendelssohn:Wedding March (Arranged by V.Horowitz and Arranged for Piano 4hands by M.Yamaguchi )

 結婚式でお馴染みの行進曲。この作品はシェイクスピアの「真夏の夜の夢」のための付随音楽としてメンデルスゾーン(ドイツ1809-1847)が作曲した管弦楽曲の一曲です。世紀の大ピアニスト、ヴラディミール・ホロヴィッツ(1903-1989)は、リストのピアノ独奏用編曲をもとに、超絶技巧を盛り込んだ「結婚行進曲」を仕立てました。この豪華絢爛なホロヴィッツ版を2人で弾いてみたい!と連弾に編曲してみました。 編曲にあたりさらに音を付け加え、4本の手や腕の動きで、結婚式を演出できるよう目指しています。 

  グァスタヴィ―ノ:ロマンス・デル・プラタ

Carlos Guastavino:Romance del Plata

 2012年で生誕200年を迎えた、アルゼンチンの”ピアノの詩人”カルロス・グァスタヴィーノ(1939-2000) は、ピアノのための作品を数多く作りました。どの曲も甘美極まりなく優しさに満ちています。日本では、まだほとんど知られていない作曲家ですが、最近では、アルゲリッチやクレーメルといった名演奏家が取り上げ注目されはじめています。「ロマンス・デル・プラタ」は、3楽章から成るソナチネです。ヨーロッパ音楽のスタイルながら、ラテン音楽特有の歌いまわし、情熱のリズムが絶妙に融合されています。アルゼンチンの太陽にきらめく、ラ・プラタ川の流れと、恋人たちが語り合うような愛らしい旋律が聴こえてきます。今後、ピアノ連弾の定番曲となるのではと、予感させられる名曲です。

  マインダース:ショーロ

Frederic Meinders : Choro

 1946年生まれのオランダ人ピアニスト、フレデリク・マインダースは、作曲や編曲も数多く手がけています。歌曲やオペラ、映画音楽のピアノ編曲、左手のための編曲、ピアノデュオのための編曲などすでに700曲を越えています。中には、「ハッピーバースデー」の歌と「エリーゼのために」を同時に弾くユニークな作品もあります。1999年のオリジナル作品「ショーロ」は、ピアノ独奏と連弾版のために作られました。「ショーロ」は、独特なラテンのリズムによるブラジルの大衆音楽です。現在、ブラジルに住むマインダースによる「ショーロ」は、ジャズの雰囲気も漂う軽快な小品です。

  ヴィラ=ロボス:“ブラジルの子供達の謝肉祭”より「フォリア」

Villa-Lobos : Carnaval des criancas brazileiras “A Folia de um Bloco Infantil “

ヴィラ=ロボスは、ブラジルだけでなく、中南米を代表する作曲家。またブラジルでの音楽教育の発展に力を注ぎました。独自の作曲技法による作品は、650曲以上で未出版の曲なども多く、合わせると3000曲位に上るとされています。自身は、チェロを演奏しながらも様々な楽器のための作品を残しています。彼が幼少の頃から親しんだ「ショーロ」を、自身の音楽に取り入れた連作「ショーロ」は、ラテン音楽を国際的に広めた代表作です。また、ヨーロッパやアメリカで出会った音楽家との交流によってロボスの作品は、演奏されるようになりました。ピアニストのルービンシュタインや、ギターリストのセゴビアは、彼の音楽を積極的に演奏し、作品も献呈されています。1919-20年頃の6曲からなるピアノ組曲「ブラジルの子供達の謝肉祭」は、年に一度のカーニバルで、仮装し楽しみ騒ぐ子供達の光景を音楽にしています。終曲の「フォリア」(子供の団体による喜び)は、連弾曲としても書かれています。組曲全体は、ロボス自身がピアノとオーケストラのために編曲した「Momoprécoce」も作られています。

  レビコフ:組曲“クリスマスツリー”より「ワルツ」

Vladimir Rebikov:Waltz from The Christmas Tree Op.21a

 ヴラディミール・レビコフ(1866-1920)は、知られざるロシアの作曲家で、優雅なサロン風作品や子供向けの作品を多く残しています。1903年に作曲された「クリスマスツリー」は、アンデルセンの「マッチ売りの少女」やドストエフスキーの「少年とクリスマスツリー」を原作とした歌劇です。レビコフは、歌劇から6曲を選びオーケストラや、ピアノ連弾のための組曲にしました。「中国の人形の踊り」という作品も入っており、チャイコフスキー「くるみ割り人形」の影響が見られます。第1曲の「ワルツ」は、ピアノ独奏用にも作られ、レビコフの代表作として知られています。

  チャイコフスキー(E.LANGER=伊賀&山口編曲):バレエ組曲”くるみ割り人形”作品71a 

P.Tchaikovsky:The Nutcracher (Arranged by E.Langer=A.Iga&M.Yamaguchi)

 チャイコフスキー(1840-1893)の音楽で真っ先に思い浮かばれるのは、「くるみ割り人形」ではないでしょうか。1892年に完成した、「くるみ割り人形」は、チャイコフスキーの「3大バレエ」(「白鳥の湖」「眠りの森の美女」「くるみ割り人形」)最後の作品であり、バレエ音楽史上の最高傑作です。題材は、ドイツの作家E.T.A.ホフマンの書いた童話をデュマがフランス語訳したものに基づいてます。チャイコフスキーはこの幻想的なバレエ音楽の中から8曲を選び、演奏会用の組曲として発表しており、それはバレエ音楽以上に広く普及されました。E.LANGERによるピアノ連弾編曲に、我々独自のアイデアも取り入れてみました。ロマンティックなロシアの世界でクリスマスを味わって頂けましたら嬉しいです。

  モーツァルト=P.Buttall (山口&伊賀編):サンバ・トルコ!

W.A.Mozart (Arranged by P.Buttall= &M.Yamaguchi & A.Iga):Samba alla Turca!


モーツァルトの名曲「トルコ行進曲」が、陽気なサンバのリズムに変身。”もしモーツァルトがブラジル人だったら!”と楽しいイメージを膨らませながら、私たちはButtallによる編曲をもとにさらに音や手の動きを加えました。4本の手にも注目してください。

  ビゼー(ヴャーチェスラフ・グリャーズノフ編曲:ハバネラの踊り(歌劇「カルメン」より)

Bizet arr.by Vyacheslav Gryaznov :"Habanera for Two"from Carmen

たくさんの音楽ファンを魅了して止まない情熱の歌劇「カルメン」。作曲家であるビゼー
(1838~1875)特有の親しみやすく美しい旋律がその人気の秘密です。ハバネラとはキューバの民族舞踊のことで、後のタンゴのルーツと言われています。歌劇のヒロインであるカルメンが歌う情熱のアリアですが、本日は、ロシア人ピアニスト・Vyacheslav Gryaznovの編曲による珍しい連弾版で演奏します。お馴染みのカルメンが、タンゴやボサノバに?!

  エドゥアルド・シュット:「ワルツの童話Walzer-Märchen 」作品54a

Eduard Schutt:Walzer-Märchen Op.54a


シュット(1856-1933)Eduard Schutt 、は、ペテルブルク音楽院を卒業したのち、ライプツィヒで、カール・ライネッケらに学んだ。その後、1879年から偉大なる名教師テオドール・レシェティツキーの弟子になるためにウィーンに移り住むことになる。ピアニスト・作曲家として活躍し、リスト、ブラームス、グリュンフェルト、アントン・ルビンシュテインとも親交が深かった。シュットは、2つのピアノ協奏曲をはじめ、オペラ、室内楽曲、歌曲、数々のピアノ小品を残し作品番号は108に至る。しかし、シュトラウスの編曲や、2台ピアノのための「ショパンのワルツ第7番によるパラフレーズ」が、わずかに知られているものの、今日、自作曲が演奏されることはほとんどない。しかし、甘美で透明感ある響きは、魅力にあふれている。アメリカの音楽雑誌『ETUDE』には、”最も美しいメロディーを書く現代の作曲家”として紹介されている(1909年5月号)。日本で唯一全音ピアノピースで出版されている、「最愛の人に」作品59-4は、当時爆発的な人気を得て、ゴドフスキーや、ハロルドバウアーによって録音された。また、「愛の蝶々(ウィーンの思い出)」作品59、「可愛らしい謝肉祭」作品49といったピアノ曲集は、親しみやすい音楽の玉手箱となっている。「ワルツの童話」は、1897年にSimrock社から出版された連弾作品で、3曲からなるワルツ集である。ピアノとヴァイオリン、チェロによる室内楽版も存在する。3曲ともシュットの独創的な転調、優美なメロディーがあり、鍵盤の最低音から高音までを使った響きは、連弾ならではの豪華さを楽しませてくれる。ヨハン・シュトラウスを敬愛したシュットならではのワルツ集である。シュットの連弾作品には他に、「田園風景」作品46、「ロシア民謡」、「思い出のワルツ集」作品64がある。忘れさられるには、あまりに惜しい作曲家である。


[曲目解説 山口雅敏]